概要
ダビデ王は、旧約聖書『サムエル記』『列王記』に描かれる、統一王国イスラエルの第2代王。少年時代の巨人ゴリアテ討伐で知られ、ユダヤ教・キリスト教の伝統でメシア(救世主)の系譜の源流として位置づけられる。
語源
ヘブライ語 דָּוִד(ダーヴィド)の語源は確定していないが、「愛される者」を意味するとする説がある。
歴史
ダビデ王国の史実性・規模については、聖書考古学において長年議論の対象となってきた。近年の考古学的発見(テル・ダン碑文、紀元前9世紀、「ダビデの家」という語句を含む)により、ダビデが完全な伝説上の人物ではなく、何らかの実在の王朝の祖であった可能性が高まったとする見解が有力になっているが、聖書の記述にある王国の規模・繁栄をそのまま史実とすることには慎重論もある。
各伝統における意味
ユダヤ教・キリスト教内部の教説
羊飼いの少年として、巨人ゴリアテを石投げで倒した逸話(サムエル記上17章)で最初に登場する。初代王サウルの後を継ぎ、エルサレムを首都と定め、統一王国イスラエルの最盛期を築いたとされる。息子ソロモン王(ソロモン王)にその王位と繁栄を引き継いだ。多くの詩篇(詩篇)の伝統的な著者ともされる。キリスト教では、イエス・キリストが「ダビデの子孫」と系図的に位置づけられ、メシア(救世主)の系譜として重視される。
学術的読解
聖書学者は、ダビデ物語(特にバト・シェバとの姦通、息子アブサロムの反乱など)を、単なる英雄賛美ではなく、王の人間的な欠点・葛藤をも描く複雑な文学作品として評価する。
美術
ミケランジェロ(ミケランジェロ・ブオナローティ)の彫刻『ダビデ像』が特に著名。個別作品は今後ノード化する。
現代文化
「ダビデの星」(六芒星、六芒星(ヘキサグラム))は、近代以降ユダヤ人・ユダヤ教の象徴として広く用いられるが、ダビデ王自身との直接の歴史的関連は確立していない。
関連ノード
- ソロモン王 — 息子
- 詩篇 — 伝統的に著者とされる文献
- ミケランジェロ・ブオナローティ — 彫刻『ダビデ像』の制作者
- 六芒星(ヘキサグラム) — 近代以降「ダビデの星」として結び付けられる図像
参考文献
- Baruch Halpern, David’s Secret Demons: Messiah, Murderer, Traitor, King, Eerdmans, 2001. — ダビデ王の史実性を扱う学術研究
- James L. Kugel, The Bible As It Was, Harvard University Press, 1997. — 聖書物語の古代における解釈史を扱う学術研究