概要
ソロモン王(ヘブライ語: שְׁלֹמֹה シェロモー)は、旧約聖書に描かれるダビデ(ダビデ王)の子で、統一王国イスラエルの第3代王とされる人物。神から授かった比類なき知恵と、エルサレム神殿の建設で知られる。後世、霊的存在を支配する力を持つとする伝説が発展し、中世〜近世の魔術書群の仮託著者ともされた。
歴史
ソロモン王が歴史上実在した単一の人物として同定できる考古学的・同時代史料には限りがあり、旧約聖書の記述にある王国の規模・繁栄がどこまで史実を反映しているかについては、聖書考古学の中で議論が続いている。
各伝統における意味
ユダヤ教・キリスト教内部の教説
『列王記』上巻に、神から知恵を願い、二人の女性が同じ子の母を主張した際に真の母を見抜いた「ソロモンの裁き」の逸話が記される。エルサレム神殿の建設者としても位置づけられ、『箴言』『伝道の書』『雅歌』の著者に伝統的に仮託される。一方で列王記上11章は、晩年のソロモンが異国の妻たちの影響でモレク(モレク)を含む異教の神々を礼拝する高き所を築いたと記し、これを王国分裂の一因として位置づける。
中世〜近世の魔術伝統
中世以降、ソロモンが霊的存在(悪魔・精霊)を指輪(指輪)の力で使役したとする伝説が発展した。この伝説を背景に、『ソロモンの鍵』(『ソロモンの鍵』)をはじめとする複数のグリモワール(グリモワール)が、実際の成立年代(中世後期〜近世)とは無関係に、ソロモン王の著作として仮託された。
文学
『雅歌』(雅歌)の伝統的な著者とされる。
関連ノード
- 知恵 — 伝統的に付与される中心的な資質
- 『ソロモンの鍵』 — 仮託される代表的なグリモワール
- グリモワール — 著作として仮託された文献ジャンル
- モレク — 晩年に礼拝したとされる異教の神
- ダビデ王 — 父
- 雅歌 — 伝統的に著者とされる文献
- 指輪 — 霊的存在を使役したとされる魔法の指輪の伝説
参考文献
- James L. Kugel, The Bible As It Was, Harvard University Press, 1997. — 聖書物語の古代における解釈史を扱う学術研究
- Owen Davies, Grimoires: A History of Magic Books, Oxford University Press, 2009. — ソロモン仮託のグリモワール伝統の成立史を扱う学術研究