概要
『ソロモンの鍵』(ラテン語: Clavicula Salomonis)は、代表的なグリモワール(グリモワール)の一つ。書名の「鍵」(鍵)は、隠された知識・力への通路という比喩を体現している。護符(ペンタクル)の図案、精霊を呼び出すための儀式手順、道具の浄化法などを記す。
語源
「ソロモンの鍵」は、旧約聖書のソロモン王(ソロモン王)が霊的存在を支配する力を持っていたとする中世以来の伝説に由来する表題であり、実際の著者はソロモン王とは無関係である。
歴史
現存する写本は主に14〜17世紀のイタリア語・ラテン語・フランス語のものであり、成立時期はソロモン王(伝承上は紀元前10世紀頃)から2000年以上下る中世後期〜近世である。多くの異本が存在し、単一の「原典」を特定することは難しい。19世紀にはS.L.マグレガー・メイザース(サミュエル・リデル・マグレガー・メイザース)が英訳・編集版を出版し、近代西洋儀式魔術の実践者に広く参照されるようになった。
各伝統における意味
内容
天使や神の御名を用いて精霊・悪魔を召喚・使役するための儀式手順、目的別に用意された護符(ペンタクル)の図案、儀式道具の浄化・聖別の方法などから構成される。護符の図案には、六芒星(六芒星(ヘキサグラム)、「ソロモンの封印」)を用いたものも多く含まれる。
近代儀式魔術における位置づけ
黄金の夜明け団など19世紀末以降の近代西洋儀式魔術の実践者たちにとって、『ソロモンの鍵』は参照される古典的グリモワールの一つとなった。ただし、これは近代の受容であり、成立当時の宗教的文脈(中世〜近世のキリスト教的世界観)とは区別する必要がある。
関連ノード
- グリモワール — 上位概念
- 西洋儀式魔術 — 近代における受容の文脈
- サミュエル・リデル・マグレガー・メイザース — 英訳・編集版の出版者
- ソロモン王 — 仮託される著者
- 鍵 — 書名に用いられる図像モチーフ
- 六芒星(ヘキサグラム) — 「ソロモンの封印」として護符に用いる図像
参考文献
- Owen Davies, Grimoires: A History of Magic Books, Oxford University Press, 2009. — 『ソロモンの鍵』の成立史・写本伝承の学術的整理
- S.L. MacGregor Mathers (trans. & ed.), The Key of Solomon the King (Clavicula Salomonis), George Redway, 1889. — 近代西洋儀式魔術界に広く流布した英訳版