概要
六芒星(ヘキサグラム、Hexagram)は、正三角形(三角形)を上下逆に2つ重ねた六角形の星形図形。近代以降ユダヤ教・ユダヤ人の象徴「ダビデの星」として広く知られる一方、西洋儀式魔術の伝統では「ソロモンの封印」として、五芒星(ペンタグラム、五芒星)とは別系統の護符・召喚魔術の図形としても用いられてきた。
語源
「ヘキサグラム(Hexagram)」はギリシャ語「6(ヘクス)」+「文字・図形(グランマ)」の合成語。
歴史
図形自体は古代から様々な文化圏で装飾・護符として使用されてきたが、特定の宗教・民族の象徴として確立したのは比較的後代である。ユダヤ教の象徴としての「ダビデの星」の用法が広く定着したのは中世後期以降であり、王ダビデ(ダビデ王)自身が用いた、あるいは彼の時代から続く象徴であるという直接の歴史的裏付けは確立していない。近世ヨーロッパの儀式魔術文献では「ソロモンの封印」として、悪霊の召喚・拘束に用いる護符として頻出する。
各伝統における意味
ユダヤ教の象徴としての用法
19世紀以降、シオニズム運動を通じてユダヤ人・ユダヤ教を代表する象徴として国際的に定着し、1948年のイスラエル建国後は国旗にも採用された。ただし、この用法が確立したのは比較的近代のことであり、古代・中世のユダヤ教において六芒星が現在ほど中心的な宗教的意味を持っていたわけではない点に注意が必要である。
西洋儀式魔術における「ソロモンの封印」
『ソロモンの鍵』(『ソロモンの鍵』)をはじめとする西洋の魔術文献(グリモワール)では、六芒星は「ソロモンの封印」として、悪霊を拘束・支配する強力な護符図形として扱われる。五芒星が主に個人を守護する護符として用いられるのに対し、六芒星はより積極的に霊的存在を制御する道具として位置づけられる傾向がある。この魔術的伝統は、ユダヤ教の民族的象徴としての用法とは別系統の展開である。
数秘術における意味づけ
上向き・下向き2つの三角形が織りなす図形として、6という数(6)の均衡・調和のシンボルとしても言及される。
現代文化
イスラエル国旗の中心図案として、現代でも国家的象徴として用いられている。
関連ノード
- 6 — 図形の構成要素として関連づけられる数
- ダビデ王 — 近代以降「ダビデの星」として結び付けられる王
- 『ソロモンの鍵』 — 「ソロモンの封印」として召喚魔術に用いる文献
- 三角形 — 図形を構成する要素
参考文献
- Gershom Scholem, “The Star of David: History of a Symbol,” in The Messianic Idea in Judaism, Schocken Books, 1971. — 六芒星のユダヤ教象徴としての成立史を扱う古典的学術論文
- Owen Davies, Grimoires: A History of Magic Books, Oxford University Press, 2009. — ソロモンの封印を含む西洋魔術文献の歴史を扱う標準的学術研究