概要
パピュス(Papus、本名ジェラール・アンコース Gérard Encausse、1865年-1916年)は、フランスの医師・オカルティスト。19世紀末パリのオカルト復興運動の中心人物の一人で、マルティニスト教団(Ordre Martiniste)の創設者として知られるほか、著書『ボヘミアンのタロット』(『ボヘミアンのタロット』)を通じて秘教的タロット解釈を体系化したことで知られる。
語源
「パピュス」はエリファス・レヴィ(エリファス・レヴィ)が紹介した偽エノク文書『ヌクテメロン』に登場する医術の精霊の名に由来する筆名。本名はジェラール・アンコース。
歴史
医師として学業を修める一方、1880年代からパリのオカルト・サークルの中心的組織者として活動した。18世紀の神秘思想家ルイ=クロード・ド・サン=マルタンの思想を継承すると称するマルティニスト教団を設立し、実践的な秘教結社網を築いた。1888年にはジョゼファン・ペラダン(ジョゼファン・ペラダン)らとともに「カバラ的薔薇十字教団(Ordre Kabbalistique de la Rose-Croix)」を共同設立したが、ペラダンは1890年に教団のあり方(カトリック教義との関係)を巡って袂を分かち、独自の教団を興した。第一次世界大戦に軍医として従軍し、戦地で感染した病により1916年に死去した。
各伝統における意味
タロット解釈史における位置づけ
1889年の『ボヘミアンのタロット』において、クール・ド・ジェブラン以来のタロット・エジプト起源説、エリファス・レヴィのタロット・カバラ対応、ポール・クリスチャン(ポール・クリスチャン)の秘儀入門儀礼の物語を統合・体系化し、フランス語圏における秘教的タロット解釈の標準的参照文献の一つを確立した。
フランス・オカルト復興運動の組織者としての役割
マルティニスト教団を通じて秘教思想の実践的な結社網を構築し、19世紀末フランスにおけるオカルト復興運動を、ロンドンの黄金の夜明け団と並行する形で組織化した中心人物の一人とされる。
文学
タロット・カバラ・秘教医学など多岐にわたる著作を残した。
現代文化
『ボヘミアンのタロット』は20世紀以降も各国語に翻訳され、秘教的タロットの古典的参照文献として現代のタロット実践者に読み継がれている。
関連ノード
- エリファス・レヴィ — タロット・カバラ対応の発想の先行者
- ポール・クリスチャン — タロット解釈の先行者
- 『ボヘミアンのタロット』 — 著書
- ジョゼファン・ペラダン — 教団を共同設立し、後に袂を分かった人物
参考文献
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — パピュスのタロット論とその影響史を扱う標準的学術研究
- Christopher McIntosh, Eliphas Levi and the French Occult Revival, rev. ed., State University of New York Press, 2011. — 19世紀末フランス・オカルト復興運動の文脈を扱う研究