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ポール・クリスチャン


視点: タロット / 西洋魔術 / 歴史 / 文学
テーマ: タロット / 西洋魔術

概要

ポール・クリスチャン(Paul Christian)は、フランスの著述家ジャン=バティスト・ピトワ(Jean-Baptiste Pitois、1811年-1877年)の筆名。主著『魔術の歴史(Histoire de la Magie)』(1870年)で、タロット大アルカナ22枚を古代エジプトの秘儀入門儀礼の象徴体系として描く詳細な物語を提示し、クール・ド・ジェブランに始まる「タロット・エジプト起源説」を、具体的なカードごとの意味・数・対応を伴う形で大衆的に流布させた人物として知られる。

語源

「ポール・クリスチャン」は筆名であり、本名はジャン=バティスト・ピトワ。

歴史

フランス政府の公教育省図書館に司書として勤務する傍ら、歴史書や大衆向け著作を数多く執筆した。1863年に発表した『テュイルリーの赤い男(L’Homme rouge des Tuileries)』(『テュイルリーの赤い男』)で、カトリーヌ・ド・メディシスの占星術師コジモ・リュジエリにまつわる怪異伝説を文学的に脚色し発表した。1870年の主著『魔術の歴史』では、古代エジプトの神官が候補者に課したとする架空の「秘儀入門儀礼」の物語の中に、タロット大アルカナ22枚を「アルカナ」として配置し、各カードに固有の名称・数・占星術的対応を与える体系を提示した。

各伝統における意味

秘教的タロット解釈史における位置づけ

クリスチャンは、アントワーヌ・クール・ド・ジェブラン(アントワーヌ・クール・ド・ジェブラン)が提示したタロット・エジプト起源説と、エリファス・レヴィ(エリファス・レヴィ)が示したタロット・カバラ対応の発想を統合・拡張し、「古代エジプトの秘儀」という具体的な物語の形に仕立て上げた。この物語で提示されたカードの並び順や対応関係の一部(例えば「正義」と「力」の番号の入れ替えなど)は、後のカバラ対応表(黄金の夜明け団の体系を含む)とは異なる独自のものだが、19世紀後半以降のフランス語圏オカルト・タロット文献に大きな影響を与えた。

研究者の見解

現代のタロット史研究(デッカー、ドゥポリ、ダメットら)は、クリスチャンが提示した「古代エジプトの秘儀入門儀礼」の物語を、歴史的根拠を持たない19世紀の創作と位置づけている。しかしこの創作が、タロットを「古代の失われた叡智を伝える象徴体系」として読む大衆的なイメージの定着に大きく寄与した点で、思想史的な影響力は無視できないとされる。

文学

『魔術の歴史』のほか、怪異譚『テュイルリーの赤い男』など、歴史的題材を扱う大衆向け著作を多数残した。

現代文化

クリスチャンが考案したカード名称・対応の一部は、現代でも「エジプシャン・タロット」を称する一部のタロットデッキや通俗的なタロット解説書に、あたかも古来の伝統であるかのように継承されている。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

由来の発見

隣接の発見