概要
タロット大アルカナの21番(多くの体系で最終番)。完成・統合を表すとされるカード。
図像の変遷
ヴィスコンティ・スフォルツァ版(PMBデッキ)では、二人の幼児(プット)が水と大気を宿す球体を掲げ持ち、その中に城壁都市が浮かぶ新エルサレム的な図像で描かれ、四隅の四生物はまだ登場しない。なお同時代のフィレンツェ・ボローニャ系の初期デッキでは、この位置の札が「審判」の前段にあたる寓意「名声(ファーマ)」として描かれることもあった。マルセイユ版では楕円の花冠の中で踊る人物と、四福音書記者に由来する四隅の四生物(人間・鷲・獅子・牡牛)という構図が確立し、ライダー・ウェイト版もこれを踏襲している。
歴史
初期のデッキでは「世界」あるいは天使に運ばれる世界の姿として描かれた。大アルカナの末尾に置かれる構成は比較的早い時期から見られる。
各伝統における意味
キリスト教美術との関係
図像の四隅に四つの生物(人間・鷲・獅子・牡牛)が配されることが多く、これはキリスト教美術における四福音書記者(四福音書記者、マタイ・ヨハネ・マルコ・ルカ)のシンボルに由来する、中世キリスト教図像学で広く用いられたモチーフである。
西洋魔術・ヘルメス思想
同じ四つの生物が、四元素(四元素)の象徴としても解釈される。四元素のうち地(地)は、大アルカナに単独で配当されるカードを持たない唯一の元素であり、世界の四隅の図像が地を含む四元素すべてを象徴する構図は、その中で地が視覚化される数少ない場面の一つである。これはキリスト教図像学とは別の層の、近代オカルティズムによる再解釈である。
美術
ライダー・ウェイト版では、楕円形の花冠(月桂冠を模した意匠で描かれることが多い)の中で舞う人物とその四隅の四生物として描かれる。
関連ノード
- 四元素 — 図像の四隅の生物が対応づけられる体系
- 地 — 大アルカナに単独で配当されるカードを持たない元素が、この図像で視覚化される
- path-tav — 生命の木における配当パス
- 月桂冠 — 図像の花冠のモチーフ
- 四福音書記者 — 図像の四隅の生物の由来
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちタヴ(ת)のパス(path-tav)に配当されるとされる。
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — タロットが15世紀イタリアのトリックテイキングゲームとして始まったことを実証した基礎的な歴史研究
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — 18世紀末以降のオカルト的再解釈(クール・ド・ジェブラン、エッティラ、レヴィ、黄金の夜明け団)の経緯を扱う
- Arthur Edward Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910. — ウェイト版タロットの意味づけの一次資料
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表の一次資料