エリファス・レヴィ『バフォメット』(1856年)

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タロットの『悪魔』は、なぜヤギの頭で描かれるのか

タロット大アルカナの『悪魔』といえば、角と翼と獣の脚を持つ、あの姿を思い浮かべる人が多いと思います。でも、この図像は中世からずっと同じ形で受け継がれてきたわけではありません。

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    悪魔

    タロット大アルカナ15番、束縛・欲望・物質への執着を表すカードです。現存する最古級のデッキ(ヴィスコンティ・スフォルツァ版)にはこのカード自体が欠けていて、初期の図像がどんな姿だったのかは、実はよくわかっていません。

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    山羊座

    近代のオカルト的解釈では、悪魔の配当パスは黄道十二宮の山羊座に対応づけられます。山羊座の起源であるギリシャ神話の牧神パーンも、後世キリスト教美術の「角・獣脚を持つ悪魔」の図像に影響を与えたとされます。ここで「山羊=悪魔」の下地ができます。

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    バフォメット

    「バフォメット」という名は、中世のテンプル騎士団裁判の異端審問記録に登場します。ただし、この時点では山羊の姿をした具体的な図像として描かれていたわけではありません。名前だけが、まず先に存在していました。

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    エリファス・レヴィ

    山羊の頭を持つ両性具有のバフォメット像を実際に描いたのは、19世紀フランスの魔術師エリファス・レヴィです。1856年、たった一人の人物による創作でした。この図像がのちにゴールデン・ドーンを経てタロットの『悪魔』カードのイメージと結びつき、現在私たちが思い浮かべる姿になりました。

ここまでで見えてくること

「悪魔=ヤギの頭」というイメージは、中世からそのまま伝わってきた古い伝統のように見えて、実際には山羊座の対応・バフォメットという名前・そして19世紀の一人の魔術師による具体的な創作、という複数の層が積み重なって出来上がったものです。古そうに見える象徴ほど、実は近代の誰かの手が入っている——象徴の意味は、それを読む文脈の中で作られる、という好例です。

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