概要
元型(アーキタイプ、Archetype)は、カール・ユング(カール・ユング)の分析心理学における中心概念。集合的無意識(集合的無意識)に存在するとされる、人類に普遍的な心的パターン・型を指す。
語源
英語 archetype はギリシャ語 ἀρχέτυπον(アルケテュポン、「原型・原初の型」の意)に由来する。この語自体は古代からプラトン主義の文脈で用いられてきた哲学用語で、ユングはこれを分析心理学の術語として転用した。ただし、ユングの元型概念は、プラトンのイデア論(プラトンを参照)における超越的で不変な「形相」とは異なり、経験に先立って心に備わる「構造化する潜在的可能性」として位置づけられる点で、両者を単純に同一視すべきではない。
歴史
ユングは、世界各地の神話・宗教・夢・幻覚に共通して現れるモチーフ(英雄、太母、賢者、トリックスターなど)の存在から、個人の経験を超えた、人類に共通する心的な型を仮定するに至った。
各伝統における意味
「元型そのもの」と「元型的イメージ」の区別
ユング心理学では、元型それ自体は直接観察・表象不可能な構造化の潜在的可能性であり、私たちが実際に神話・夢・芸術の中で目にするのは、それが文化的・個人的な形を与えられた「元型的イメージ」であるとされる。両者を混同しないことが分析心理学内部でも重要視される。
代表的な元型群
影(影(シャドウ))、アニマ・アニムス(アニマ・アニムス)、太母、賢者、トリックスターなどが代表的な元型として論じられる。本プロジェクトが扱う神話・象徴の多くを、ユング心理学はこの元型の表れとして解釈する。
研究者の見解
元型概念の科学的検証可能性については心理学界内でも議論が続いており、経験科学というより解釈学的な性格が強いとする批判が存在する。
哲学
プラトンのイデア論との類似性・相違については、ユング自身及び後代の解説者の間でしばしば議論の対象となる。
現代文化
「元型」という語は、物語論・キャラクター類型論などで、ユング心理学の文脈を離れて一般に広く用いられるようになった。
関連ノード
- カール・ユング — 提唱者
- 集合的無意識 — 元型が存在するとされる無意識の層
- 影(シャドウ) — 代表的な元型の一つ
- アニマ・アニムス — 代表的な元型の一つ
- プラトン — 「元型」という用語の哲学的出典であり、しばしば比較対象とされる人物
参考文献
- C.G. Jung, The Archetypes and the Collective Unconscious, Collected Works Vol. 9i, 2nd ed., Princeton University Press, 1968. — 元型論の一次資料
- Anthony Stevens, Jung: A Very Short Introduction, Oxford University Press, 1994. — ユング心理学の標準的入門書