辞典 / 神格

エロス(クピド)


視点: 神話 / 宗教 / 西洋美術 / タロット
テーマ: ギリシャ神話

概要

エロース(古代ギリシャ語: Ἔρως)はギリシャ神話における愛の神。ローマ神話ではクピド(Cupido、英語 Cupid=キューピッド)と呼ばれ、こちらの名の方が西洋美術・現代文化では広く知られている。

カラヴァッジョ『勝ち誇るアモル(アモル・ヴィンチト・オムニア)』(1602年頃)
カラヴァッジョ『勝ち誇るアモル』(ベルリン絵画館、1602年頃)。Public domain, via Wikimedia Commons

語源

Ἔρως はギリシャ語で「(性愛的な)愛」そのものを意味する普通名詞でもある。

歴史

ヘシオドス『神統記』など初期の伝承では、エロースは原初の神格の一柱として宇宙生成に関わる存在とされたが、古典期以降はアプロディーテ(アプロディーテ)の子である幼い有翼の神として描かれることが一般化した。この2つの層(原初神としてのエロースと、アプロディーテの子としてのエロース)は成立時期の異なる別系統の伝承である。

各伝統における意味

ギリシャ・ローマ神話

弓矢を持つ姿で描かれ、その矢に射られた者は恋に落ちるとされる。この「矢に射抜かれる」という観念が、後の西洋美術・文学における「矢に射抜かれたハート」(ハート(心臓))という図像的定型の起源となった。プシューケー(人間の娘)との恋愛譚(アプレイウス『黄金の驢馬』所収)は、ローマ時代の代表的な物語として知られる。また、怪物テュフォン(テュフォン)から逃れるためアプロディーテとともに魚に変じたという神話は、黄道十二宮の魚座(魚座)の由来神話としても語られる。

西洋美術

ローマ名クピド(キューピッド)としての図像が、ルネサンス以降の西洋美術で広く用いられた。羽の生えた幼児の姿(プットー)で描かれる図像は、古典期の青年像とは異なる、ルネサンス期に定着した表現である。

美術

弓矢を持つ有翼の姿。ルネサンス以降は幼児(プットー)としての図像が定着した。

哲学

プラトン『饗宴』では、エロースを巡る複数の演説を通じて「愛とは何か」が哲学的に論じられ、西洋哲学における愛の概念の重要な起点の一つとなった。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見