概要
エメラルド・タブレット(ラテン語: Tabula Smaragdina)は、ヘルメス・トリスメギストス(ヘルメス・トリスメギストス)に仮託された短い錬金術文書。錬金術の要諦を凝縮した格言として、後世に絶大な影響を与えた「上のごとく下も然り」(上のごとく下も然り)という一節を含むことで特に知られる。
歴史
現存する最古の版はアラビア語文献であり(8世紀頃の錬金術文献に引用される形で確認される)、『ヘルメス文書』(ヘルメス文書)本体とは異なる伝承経路を持つ。12世紀にラテン語に翻訳され、中世〜近世ヨーロッパの錬金術文献で広く参照されるようになった。
各伝統における意味
錬金術内部の教説
大宇宙(マクロコスモス)と小宇宙(ミクロコスモス)の対応関係を説く格言として、錬金術の理論的基盤の一つとされた。
関連ノード
- ヘルメス思想 — 上位の伝統
- 「上のごとく下も然り」— 中心的な一節
- ヘルメス・トリスメギストス — 仮託される著者
- エメラルド — 名称の由来となった連想
参考文献
- Garth Fowden, The Egyptian Hermes: A Historical Approach to the Late Pagan Mind, Cambridge University Press, 1986. — ヘルメス思想史の標準的学術研究
- Brian P. Copenhaver (trans.), Hermetica: The Greek Corpus Hermeticum and the Latin Asclepius, Cambridge University Press, 1992. — ヘルメス文書の標準的学術訳
- Frances A. Yates, Giordano Bruno and the Hermetic Tradition, University of Chicago Press, 1964. — ルネサンス期ヘルメス思想受容史の古典的研究
- E.J. Holmyard, “The Emerald Table,” Nature, vol. 112 (1923), pp. 525–526. — エメラルド・タブレットのアラビア語起源に関する文献学的研究