ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット「愚者」(15世紀)

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タロットはなぜ成立したのか

タロットは、古代エジプトの神官が伝えた秘儀の書――そんな話を聞いたことがあるかもしれません。でも実際にタロットの歴史を辿ると、まったく違う姿が見えてきます。

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    ヴィスコンティ・スフォルツァ版

    現存する最古級のタロットデッキ。15世紀ミラノの宮廷のために作られた、手彩色の豪華なカードです。この時点でのタロットは占いの道具ではなく、宮廷で遊ばれるトランプゲームの一種でした。神秘的な意味づけは、まだどこにもありません。

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    アントワーヌ・クール・ド・ジェブラン

    単なるカードゲームだったタロットに転機が訪れるのは1781年。フリーメイソンでもあったこの人物が、著書『原初世界』の中で「タロットは古代エジプトの神官の叡智を伝える書物である」と主張します。根拠となる史料は実はありません。しかしこの説が、後のすべての解釈の出発点になりました。

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    エリファス・レヴィ

    クール・ド・ジェブランの「エジプト起源説」を受け継いだ19世紀の魔術師エリファス・レヴィは、タロット22枚の大アルカナをヘブライ文字とカバラの生命の木に対応づけます。エジプトの謎に、ユダヤ神秘主義の体系が接ぎ木されました。

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    『ボヘミアンのタロット』

    1889年、パピュスがそれまでの解釈――エジプト起源説、カバラ対応、秘儀入門の物語――を一冊にまとめ上げます。ここに至って、単なるカードゲームだったタロットは、体系立った秘教的な占術として完成しました。私たちが今知っているタロットのイメージは、100年以上かけて積み上げられたものです。

ここまでで見えてくること

タロットは古代から占いの道具として存在していたわけではありません。15世紀の宮廷カードゲームに、18世紀末のエジプト起源説、19世紀のカバラ対応、そして19世紀末の体系化が積み重なって、今のタロットのイメージが作られました。「古い」と感じるものほど、実は比較的新しい時代の創作である場合が多い——「象徴とは何か」「なぜ人は象徴を生み出すのか」に続けて、象徴が文脈の中で作られていく過程の、もう一つの実例です。

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もっと辿りたい方は、ヴィスコンティ・スフォルツァ版のノードに戻って他の関連ノード(ソラ・ブスカ版、トート・タロットなど)から、自分の興味で自由に探索してみてください。

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