概要
最後の審判は、キリスト教終末論において、世界の終わりに全ての死者が復活し、その生前の行いに基づいて神(あるいは再臨したキリスト)によって裁かれるとされる出来事。西洋美術史上、最も繰り返し描かれた宗教的主題の一つ。
歴史
最後の審判の観念は、新約聖書の複数箇所(マタイ福音書25章の「羊と山羊の分離」の譬え、ヨハネの黙示録20章の「白い御座の裁き」、ヨハネの黙示録を参照)に由来する要素が、後代のキリスト教教義の中で体系化されたもので、単一箇所にまとまった記述があるわけではない。中世を通じて、教会建築(タンパン彫刻)・写本装飾などを通じてキリスト教徒の日常的な信仰生活に浸透した主題である。
各伝統における意味
中世キリスト教美術(教会建築)
多くの中世大聖堂の正面入口上部(タンパン)に、最後の審判の場面(キリストを中心に、右手に救われる者、左手に地獄へ落とされる者を配する構図)が彫刻された。大天使ミカエル(大天使ミカエル)が天秤(天秤)で魂の軽重を計る図像も、この文脈でしばしば描かれる。これは文字を読めない信徒に対する視覚的な教化の役割も果たしたとされる。
ルネサンス美術
ミケランジェロ・ブオナローティ(ミケランジェロ・ブオナローティ)が1536年から1541年にかけてシスティーナ礼拝堂祭壇壁に描いた『最後の審判』は、この主題の美術史上最も著名な作例とされる。裸体表現を含む大胆な図像は、制作当時から賛否両論を呼んだことでも知られる。
タロット
タロットの「審判」(審判)カードの図像(天使のラッパの音に応じて墓から蘇る人々)は、この最後の審判の図像伝統を直接引き継いでいる。
美術
上記のミケランジェロ作品のほか、ヒエロニムス・ボスなど多くの画家が同主題を扱った。
哲学
キリスト教終末論における「歴史の目的論的完成」という観念は、西洋思想における進歩史観・目的論的歴史観の背景の一つとして、しばしば思想史研究で論じられる。
関連ノード
- イエス・キリスト — 再臨し審判を行うとされる存在
- ヨハネの黙示録 — 終末の審判を描く一次資料の一つ
- 審判 — この図像伝統を引き継ぐタロットカード
- 天秤 — 魂の軽重を計る図像に用いられるモチーフ
- 大天使ミカエル — 天秤で魂の軽重を計るとされる天使
- ミケランジェロ・ブオナローティ — 代表作『最後の審判』の制作者
参考文献
- Raymond E. Brown, An Introduction to the New Testament, Doubleday, 1997. — 終末論の聖書的背景を扱う標準的概説書
- George Ferguson, Signs & Symbols in Christian Art, Oxford University Press, 1954. — 最後の審判の図像伝統を扱うキリスト教図像学の標準的参照辞典